【営業・営業・営業のち営業】フリーランスの翻訳者になり、生き残りに奮闘している件

2013年より私はフリーランスの世界(翻訳業界)へ飛び込みました。フリーランスとして仕事を始めて5年ほどたったでしょうか。それまでは、インターネット会社や医薬系会社の社内翻訳・通訳、派遣会社からの派遣でインターネット系や通信系の大手企業様で翻訳・通訳・開発補助などをさせていただいてました。派遣会社に勤めていたときは、あれやこれやと仕事をもってきてもらい、選べるくらいには依頼があったので「翻訳の仕事って結構あるんだなぁ」とくらいしか思っていませんでした。

 

引っ越しを機にフリーランスになったのですが、最も困ったのは営業です。翻訳の仕事はある?のですが、それを取ってこれないのです。

 

ここではフリーランスの世界に興味がある方や飛び込んだ方と営業に関する情報共有をできればと思っております。

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フリーランスはどこで営業する?

待っていても誰もお仕事を持ってきてくれません。自分で探す必要があります。営業をして仕事を取ってくる必要があります。次のような選択肢があるかと思いますが、どこも数百人~の競争相手としのぎを削ることになります

クラウドワークスでは、掲載されている依頼を読んで、条件が合えば、クライアントと直接やり取りをすることになります。登録系の翻訳会社では、基本、仕事を待つことになりますね。翻訳連盟など各種翻訳関係の団体などは入会すると翻訳者一覧なるものに名前を載せてくれるので、こちらも仕事を待つことになります。飛び込み営業は読んで字のごとくです(^^)

私が利用しているのはクラウドワークス系ですね。CrowdWorksやUpworkを利用しています。CrowdWorksでは翻訳の依頼(日<>英)は全体でも一日ゼロ~数件くらいです。一方、Upworkでは全体で一日数十件~ほどあります。

ご自分の専門分野があるのであれば、その分野の会社を狙いうちしてみてもよいでしょう。私も1週間ほどかけて100件ほどの会社にメールを送ったこともありました。

営業から仕事に結びつく確率

CrowdWorksでは英日翻訳という仕事自体があまり多くはありません。よって、確率云々の話にはなりません。一方、Upworkでは、いままでの経験では、100本中1本当たるかどうかです。飛び込み営業も同じくらいの確立で100本打って1本当たるかどうかですね。

また、クライアント側と2~3日やり取りをして、結局仕事に結びつかないということもザラです。反対に、まれではありませすが、スッと決まることもありますし、数か月前にやり取りをした方から依頼をされたりすることもあります。また、本当にまれですが、仕事をしたことのあるクライアントが他の会社の仕事を紹介してくれたこともあります。

ライバルはどんな人?

まずは、人間以外のライバルをみてみましょう。GoogleMicrosoftが提供している翻訳サービス。皆さんもお使いになったことがあるかと思います。これらのサービスの存在により、翻訳業界の枠組みが崩れたといっても過言ではありません。ある一定の品質の翻訳サービスを誰でも身近にしかも無料で利用できるようになったのです。

これらのサービスではAPIも配布しているため、アプリやWEBでも同翻訳サービスを無料で組み込むことができます。たとえば、Crowdinなどのクラウド系の翻訳プラットフォームでは、すでにこれらのサービスがREADY-FOR-USE状態で組み込まれています。

この他にも翻訳補助用ソフトに組み込まれた翻訳メモリなどもライバル?となりえるでしょう(ライバルというよりは友?)。

有志の会も最近よく目にします。ボランティアで翻訳をする方たちです(個人・団体)。PCゲームの取説サイトやJavaScriptのライブラリの取説がこのような仕組みで翻訳されているのを最近よく見かけます。MicrosoftGoogleなどの大手でもボランティアをよく募集していますね。このような有志の会を補助するためのクラウド系翻訳プラットフォームもいくつか存在します。

翻訳者VS翻訳者でみると、職業は学生からプロまでさまざまです。また、日本国内在住の方だけではなく、他国で暮らしている日本人の方も応募されています。また、日本語を母国語としていない方もみかけます(または、第二言語として日本語を使用されている方)。 

資格は?

日本国内で勝負するのであればTOEICが必須でしょう。満点またはそれに近い点数が必要でしょう。また、国や民間の団体(JTAやJTF)が催している資格を取得するとアピールにもなるでしょう。

Upworkなど海外にあるクラウドワークスでは、TOEICなどの試験はあまり知名度がありません。ただし、上記のような翻訳者団体の「会員である」ということはプロフィール上でアピールになるようです。

海外に拠点を置く翻訳会社であれば、言語学的な学士またはそれと同等なもの、~年以上の経験が必要となる場合がほとんどです。

どんな依頼がある?

2016~2018にかけて頻繁にみていたのが「仮想・暗号通貨」です。海外から日本への売り込みも多いのでしょうね。次に、電気製品などの取説、各種ブログの記事、ECの商品説明ですね。私は、大手通信やインターネット会社で働いていたので、翻訳するといえば「ソフトウェアの仕様書」などですが、これらをクラウドワークス上で見ることはまれです。また、あるとすればオープン系ソフトウェアの取説などですね。その性質上、外注でもよいのでしょう。ちなみに、現在携わっている翻訳もオープンソース系システムの取説ブログの記事です。

2019年は暗号通貨も一段落して、ほぼ見かけなくなりました。いまは景気のよさそうな製薬会社や検索会社大手などが多いようですね。

単価

英>日は1単語、1円~数十円でしょうか。ピンキリです。日本翻訳連盟ではこちらのような料金体系を推奨していますが、上記でも述べたようにバックグラウンドが異なる方々がしのぎを削っているので、クライアント側が提示した条件をそのまま取ることになります。作業料や質にもよりますが、4円ほどで時給8百円ほどになるかと思います。これは単に翻訳部分なので、資料の確認などをいれると時給数十円?くらいになってしまいます。まともな翻訳者であれば文字単価で数十円は必要でしょう。

また、ブログ記事のライティングの方がよっぽど支払いがいいのでは?と思うような案件もたくさんあります。翻訳というのが「技術」であると認識されてない案件ですね。

ある程度の翻訳と通訳をカバーできる機器が登場しているものの、通訳の仕事というのは、単純にその場で言語を変換するだけではない仕事。言葉に隠された人の気持ちやその言葉の背景にある文化、習慣までをも汲み取ることが求められます。Aさんは「任せられる通訳をきちんとこなすため、私は事前に資料をもらって翻訳をします」。本番までに下準備し、知らない言葉や情報があれば、完全に理解して臨みます。」(下記記事より引用)

news.yahoo.co.jp

 

日本にある日本企業からの依頼に関しては、単価は4円前後である場合が多いです。できれば、現在景気が良い「国」(日本以外)や最低賃金が高い国(オーストラリアなら1700円~でしたでしょうか)をターゲットにして仕事を探すほうがよいでしょう。また、景気がよく従来から単価の高い医薬系もいいですが、これらは理系のバックグランドを必要とされる場合が多いです。

仕事の傾向

現在は、機械翻訳がメジャーになる転換期です。機械翻訳が廃れていくことはないでしょう。

これに伴い、いま多く見かけるのがPost-editingやMTの仕上げの作業です。つまり、機械翻訳されたものを仕上げる作業が多くなってきています。

もちろん、翻訳者としては機械がやった仕事の後始末的な仕事はしたくはありませんが時世ですかね。それに、ゼロからやるより時間がかかる場合が多いのも事実です。

また、多くのクライアントが機械翻訳はある程度使えると思われているので、多くの場合、調査のための時間は割いてくれないでしょう。ということで、調査時間は無給となる場合が多いです。または、その時間さえも割いてくれない場合が多いです。これだと、仕事の大半は「スタイルガイド」(もしあれば)への対応になるので、専門的な知識が身に付かず、なんねんやっても専門分野をつくれないなどの弊害もでてくるでしょう。

クライアント側が開発している翻訳アプリを使用しなさいという場合もあります。クラウド系や翻訳メモリを使用している場合、自分のノウハウはすべてクライアント側に吸収され使いまわしされてしまうので、結局は自分にかなり不利益です

 

(2023-4-16 追記)翻訳文章も次のように扱われるべきと思います。もし、こういう運動があれば翻訳家のお仕事もある程度寿命が延びたかと。。。、

news.yahoo.co.jp

 

大手の翻訳企業は翻訳業界は拡大傾向にあるとうたっていますが、インターネットコンテンツがこれだけ豊富だと実際そうなのでしょう。ただ、業界は拡大しているが、翻訳者の人数は淘汰されていくでしょう。なんでか?前にも述べたように、MTが台頭してきています。大きい企業はMT(Machine translation)+TM(Translation memory)の組み合わせで使用して、MTのアウトプットを翻訳者に精査させ、それをTMに保存して再活用していくスパイラルができつつあります。

つまり、TM内の翻訳数は上がり、それにつれMTの精度は上がっていくことでしょう。このスパイラルができてしまえば、あとは数人の翻訳者しか必要がなくなり、いつかの時点では翻訳者さえいらなくなってしまうでしょう。

個性が必要な翻訳もあるでしょうが、翻訳業界の拡大に貢献しているのは、ヘルプコンテンツや取説などの一定の形式でできてるいるものが多数かと思います。大手検索会社G社では上記のようなコンテンツは100%機械にやらせています。翻訳者として生活していくのは今後かなり困難になるかと思います。

生き残るには

クラウドワークス上でトップランナーとして仕事をこなしている方は大小ふくめて、年間数百件以上の仕事をこなしているようです。 これだけの作業量をこなすためには、翻訳ソフトや数年間の翻訳の蓄積(翻訳メモリを使用)の手助けが必要となってくるでしょう。

ただ、数をこなすということは、固定のクライアントがついていないということです。固定がついていないということは、新規のクライアント毎・新規の依頼毎に営業を繰り返すことになります。

個人的には「社内翻訳者」(お抱え翻訳者)が一番いいポジションだと思います。常に定期的に収入があり、仕事の内容も一貫しているので、その分野での知識も向上していくでしょう。また、納期もきつくない場合が多いです。かなりラッキーな方だけこのような仕事をゲットすることができるのでしょう。

翻訳会社は飼い殺しの可能性大なので、あまり期待はしない方がいいと思います。仕事があったはいいが、ガイドラインがダブル/トリプルスタンダードみたいなこともあり、また、納期がきっついときもあります(クライアント側のガイドライン・納期、翻訳会社側のガイドライン・納期、外注のチェック側のガイドライン・納期)。

いつかの時点で翻訳という職業は、個性が必要なものを除けばなくなるでしょう。または、食べていけなくなるかと思います。

現状、日本国内で日本の客を相手にする場合は、最低時給にも達しないのが現状です。これに関しては最近、CrowdWorksの方でも最低依頼料のガイドラインを設けることになったようです。また、時給・単価が安いからといって質を落とすことは、自分のキャリアにとっても悪影響がでます。フリーランスですので、質が悪いと一発で二度と依頼はこなくなります。

私自身にもまだ答えがでていませんが、果たして数年後、私はフリーランスの世界で生き残っているのでしょうかね(^^)その成否は翻訳スキルもさることながら「営業スキル」の向上にかかっているかと思います。

皆様に幸運を!

 

 

追記:2023-04-01

この記事を書いてから4年ですか。月日が経ちましたね。

その後、私は翻訳の仕事は探さなくなりました。それは上記でも書いてあるとおり、単価が安すぎること、営業に時間がとられることなどなど。

ただ、いくつか翻訳を募集している会社のトライアルを受けて、トライアルは合格したが、待遇が合わずというのは何件かありました。就業場所のうんぬんは上記には書いてありませんが、これも仕事選びの大きな要因ですね。私が住んでいる地域は小さくはありませんが、東京や神奈川に比べるとかなり少ないでしょうね。いきなり、東京に来てくれといわれてもねぇ。

いまは、ほかの業種につこうと資格取得の勉強をしています。

情報収集力や情報の整理力に関しては翻訳業をしていたころのノウハウが生きているので、まあ、それだけはよかったかな。。。

 

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