トキソプラズマが人間の行動を変える!?

f:id:cottonandbaby:20180823095928j:plain

トキソプラズマは基本的にはネコを最終宿主とする寄生虫の一種ですが、最終宿主のネコから人間へも感染することが知られています。

妊婦の方は妊婦検診のときに「トキソプラズマ抗体検査」なるものを受けた方もおられるかと思います(検査自体は任意です)。

トキソプラズマが胎児に与える影響に関しては皆さんもいろいろなところで聞いたことがあるかと思います(たとえば、水頭症を引き起こす一要因になったり)。おそらく、妊婦の方であれば、ひととおり勉強する方もおられるでしょう。

トキソプラズマに関する書籍や論文の場合、多くは胎児に与える影響に関してが主題となっていますが、では、宿主にはどんな影響を与えるのでしょうか?

近年、この分野(寄生虫と宿主)に関する書籍が出版され、話題になっています。(とはいっても、数年前の話ですが。)

昆虫に宿る寄生虫などは、TVでもよく目にすることがありますが、宿主が人間になった場合にはどのような影響を与えるのか。それをまとめたのがこちらの本です。👇

This Is Your Brain on Parasites: How Tiny Creatures Manipulate Our Behavior and Shape Society

This Is Your Brain on Parasites: How Tiny Creatures Manipulate Our Behavior and Shape Society

 

 日本語版も出版されていますね。 

心を操る寄生生物 :  感情から文化・社会まで

心を操る寄生生物 : 感情から文化・社会まで

 

こちらの書籍では多用な寄生虫の生体や寄生された宿主の行動などが、寄生生物学者へのインタービューや報告書をもとにして書かれています。

その中でも私が特に気になるのはトキソプラズマに感染した人間の行動です。

もともと、最終宿主がネコのはずのこの寄生虫は、どのようにして人間の体内へ運ばれるのでしょうか。経路としては、1)ネコのトイレ、2)ガーデニング、3)未調理の食材が考えられるようです(「ガーデニング」とは、つまり、ネコが糞をした後の土をいじることであり、「未調理の食材」とは、たとえば、ネズミや猫の糞が牛などのごはんに混ざり、そのまま牛などの体内に寄生し、人間が食することを指します)。

では、寄生前と後ではどのように行動が変わるのでしょうか。この点、「注意力の散漫」や「リスクを取る傾向にある」などが兆候がでるようです。トキソプラズマに寄生されると脳内ではドーパミンテストステロンが多く出るようになり、結果、上記のような行動をとるようになるようです。たとえば、交通事故に合った人の多くがトキソプラズマに感染していたということです。ほかにも、トキソプラズマ精神疾患自殺傾向が強くなるなど多くの問題行動を引き起こすようです。

なお、世界の人口の30%がすでに罹患しているとの研究結果もあるそうです。地域によっては、先進国でも50%以上罹患しているようですね。

うちの実家にも野良ネコ兼飼いネコが複数引き住んでいます。でも、ネコがこのような寄生虫を宿しているからといって、そんなに過敏になる必要もありません。トキソプラズマを研究している方が「過敏になりすぎるのはよくない、糞尿の始末をキチンとすれば大丈夫。ネコはかわいいですから」と述べています(この方もネコを飼っており、またご自身もトキソプラズマに感染しており、研究を始めたきっかけがご自身の異常行動だった?ようですが)。

ま、ネコのトイレ掃除の後にはキチンと手を洗う、台所の食材を直接置く机などにはネコを登らせない、手でなにかを食べるときはキチンと手を洗う、食材には火をとおすなど、当たり前のことを当たり前にやれば、問題はないかと思います。だって、猫と人は紀元前からのお付き合いですから。

f:id:cottonandbaby:20180823100755j:plain