あなたは、見ている側のようだが、実は見られている側。

 

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この画像は『ザ・サークル』の公式ページから借りてきています。

最近『ザ・サークル(原題『The Circle』)』という映画を見ました。見る人によって、いろいろ意見があるかと思いますが、ホームページ上に書かれている日本語のうたい文句以上に、いろいろなことを考えさせてくれる映画でした。

ネタばれを少しいうと、念願の大手企業にカスタマーサポートとして勤めることになった主人公。この大手企業は最先端のIT企業で、世界への影響力も絶大。もちろん、モデルとなっている会社はここ10数年で大きな成長と進化を遂げたあの会社。主人公は働き始めた当初は違和感を覚えるものの、自分を環境に合わせようとし、また、ある事をきっかけに会社の広告塔となります。そして、主人公の友達が死んでしまう事故がおきるのです。その事故をきっかけとして、主人公はある行動にでます。

実際に行われているデータ収集

この映画で議論されていることは「実際に起こっている」ことです。遠い国のどっかではなく、日本に暮らす日本人のあなたにです。私たちがなにげなく、日常的に使用している大手企業のサービス。私たちからは無料で、身近で、簡単にアクセスできるサービスです。ある人は商品を探して、ある人は情報を探して。私たちは情報を探しているだけかと思っていますが、実際には、あなたが見ているページやその経緯などは、すべて企業側に集められています。なんの目的で集められるの?特別な目的はありません。集めているときは「ただ集めている」といったほうがいいかもしれません。目的はあとからつけられます。もちろん、映画にもあったように、ある個人を狙い撃ちにすることもできないことではありませんが。通常は、あなた一人の行動(一個人から収集されたデータ)にあまり重要性はありません。たくさん、集めることで「傾向」などが分かってくるのです。

大手検索会社のG社はこれをビッグデータとして販売しているのはご存知ですかと思います。データを量り売りしているのです。

量り売り以外の使用方法

現在主流となっているAIの考え方・構築方法では多くのデータを必要としています。多くの経験をさせ、AI自身を成長させるのです。この「学び」の基礎となっているのが、私たちから収集されているデータです。ただし、データなので量は増えていくものの、質は向上しません。この質の向上は、人間側が教えてあげているのが現状です(つまり、人間側の常識をAIに教えている)。

学習後のAIも企業側がサービスとして販売しています。

この映画の怖いところ

レビューにもあるように、映画で出てくる人はみんないい人たちです。よりよく環境・世界を使用として、ある一種の理想に基づいて行動している人たちです。

怖いのは、一種の理想というのは、そこに入らない人には単なる押しつけとなること。同じ理想を持たない人にとっては、その善意も押しつけになること。

会社の上の人たちはいいことしか言わないこと。社員が会社の上の人たちをあたかもカルトの教祖みたいに扱うこと。社員が信徒みたいになっていくこと。

私はフリーランスとして、下っ端の端の端として、大手検索会社Gの仕事に携わったことがありますが、トレーニング資料として渡されたものには、やはり、この会社はすばらしい、お客様(あなたはではなく、広告主や有料ユーザーです(^^))は神様みたいな内容が記載されていました。その度と内容が濃かったのを今でも覚えています。

2017年の映画ではありますが

数年前の映画ではありますが、映画で問題視されている方向性はいまでも続いているかと思います。検索エンジンをつかうあなた。一度でもいいから、見る価値はあるかと思います。決して、アクションや派手なものがでてくる映画ではなく、分類としては警鐘やノンフィクション映画に近いものかと思います。おそらく、この映画監督もこの方向性に違和感を覚えているのではないでしょうか。